2025年9月、大阪の大手グループ企業の人事部を対象に、「ビジネスと人権」入門講座を実施しました。本研修は、企業活動における人権尊重の重要性や国際基準の最新動向を体系的に学び、実効性ある人権対応の基礎を身につけることを目的としています。
大手企業では人事異動が頻繁に発生し、担当者が変わることも多いため、基礎から体系的に学べる入門講座のニーズが高いです。人権対応は一部の専門部署だけでなく、全社的な理解と実践が不可欠です。新任担当者や異動者が「人権とは何か」「企業に何が求められるか」を正しく理解することで、グループ全体の人権尊重文化の定着とリスク管理力の向上につながります。
「ビジネスと人権」入門講座の内容
本研修は、国際基準(国連指導原則・OECDガイダンス等)に基づく体系的なカリキュラムを採用し、自社の業界の実例や最新動向を交えた実践的な内容で構成しました。企業の人権尊重責任を「方針」から「文化」へと浸透させるための第一歩となる研修を目指しています。
- 人権の歴史的発展と「三世代の人権」(自由権・社会権・連帯権)の解説
- 人権の3つの性質(固有性・普遍性・不可侵性)について
- 国際人権法と世界人権宣言の位置づけ
- 法令遵守だけでなく、国際人権基準の尊重が求められる時代背景
- ライツホルダー(影響を受ける人々)の視点重視
- 企業が人権侵害を回避し、負の影響に対応する責任
- 人権への負の影響がもたらす法務・財務・戦略・レピュテーション・人財リスクの具体例
- サステナビリティ経営と人権尊重の関係性
自社の業界において顕著な人権リスクをわかりやすく解説
- グローバル化によるガバナンス・ギャップの問題
- 「保護・尊重・救済」のフレームワークと国連「ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGPs)の解説
- 人権方針によるコミットメント
- 人権デュー・ディリジェンス(リスクの特定・評価、防止・軽減、実効性の追跡、外部とのコミュニケーション)
- 負の影響からの是正・救済(グリーバンスメカニズムの構築・運用)
ビジネスと人権に関する指導原則、バリューチェーン、ステークホルダー/ライツホルダー、グリーバンス・メカニズム等の基礎用語
受講者満足度は95.3%
今回のビジネスと人権入門講座は、満足度95.3%という高い評価を得ました。実際の受講者からのコメントを抜粋して紹介します。
業界用語も分かりやすく解説していただき、ビジネスと人権の基本をしっかり学ぶことができました。
業界で発生しうる人権問題の例を説明いただき、当社の海外事業でも起こり得ることを認識できました。他人事ではなく自分事として捉える必要性を感じました。
他社事例や最近の時事(フジTV問題等)を交えた説明で、身近なトピックスとして人権課題を考えるきっかけになりました。
人権の歴史的成り立ちや国際的な動向について学び、企業が取り組むべき理由やリスクを詳しく知ることができました。
社外・国外の情報も得られ、ビジネス上の人権課題のアウトラインを把握できました。
人権に関する用語や企業のスタンスについて、改めて理解する良い機会となりました。
人権のことをビジネスの視点から非常に分かりやすく説明していただき、大変勉強になりました。
- クライアント
- プライム上場企業の人事部(守秘義務のため社名非公開)
- 対象者
- グループ各社の人権リスクアセスメント担当者
- 受講者数
- 約110名